コミュニティFM大分析 #20【コミュニティFMの運営上で上手くいった取り組みに関するアンケート結果】
- koshibatakashi
- 12 分前
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こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。
コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。
2025年1月19日放送の「今日かも?」で、コミュニティFMを運営する上で上手くいった取り組みに関するアンケートの結果をご紹介しました。
■コミュニティFMは悩みにどう対応しているのか
2024年の7月から8月にかけて、全国のコミュニティFM局に対して「収益」「住民への認知度」「(スタッフの)高齢化・後継者不足」の3つに絞ったアンケートを実施しました。
その結果、収益は9割以上の局で、認知度と高齢化・後継者不足も約8割の局が、悩みを抱えていることが分かりました。そして、自由回答で書いていただいた具体的な悩みは、それぞれの局の苦悩がとてもよくにじみ出ていました。
これについては、2024年9月29日放送の「大分析」でご紹介しました。
今度はそういった悩みに対して、どんな手を打っているのか、その中でもし上手くいった事例があればみんなで共有したいと考え、第2弾のアンケートを実施しました。
今回もメールで調査依頼を行い、回答はgoogleフォームを使って、すべてオンラインで行いました。回答期間は2024年11月5日から12月2日までの約1ヵ月間でした。
前回と同じく、対象は開局から1年以上経ったコミュニティFM局で、そのうちメールでの連絡が可能だった321局に依頼して、そのうち67局から回答を頂きました。回答率は20.9%でした。
お忙しい中、回答して下さった各局の皆様には、深く感謝申し上げます。
■回答状況について
任意で局名やメールアドレスを記入して頂く項目があり、そこからの分析で前回に引き続き回答して下さったところが26局、今回初めて回答して下さったところが30局ありました。
エリアに関して、北陸を除くすべての地域から回答を頂きました。
経営形態は複数回答でお願いしましたが、一番多かったのは純民間、次いで第三セクター、NPO法人、ケーブルテレビ事業者直営、公設民営、その他という順番でした。

■収益確保への取り組み
まず、前回のアンケートで9割以上の局が悩んでいた、収益確保への取り組みを行っているかどうかを訊きました。
回答を頂いた局のうち、9割近く(88.1%)が「はい」と回答しました。
「はい」と答えた局のうち、収益確保が上手くいっているかどうかを尋ねたところ、「上手くいっている」「まあ上手くいっている」と回答した局がわずかに半数を超えました(52.5%)。

では、気になる具体的な回答を見ていきたいと思います。
(上手くいっている)
屋外防災放送設備工事を地元行政から受注。
メディアミックスの取り組み、リアルイベント(オフラインイベント・トークショーなど)など。
原点回帰(イベント屋ではなく放送局であること・災害放送は使命であり営業項目ではないこと・理想論ではなく現実に合わせること・営業体制の見直し)。
(まあ上手くいっている)
地域がら30代~50代の多角的に事業を行う移住者があるため、メインの仕事の副業的な動きとして委任する形で、完全成果報酬型契約の営業人員を増やしている。
行政放送の2倍にあたる金額を民間スポンサーで賄っているため、行政放送に頼らない運営を心掛けている。
放送事業収入(CMや提供番組)のほか、地域のイベントや式典などの催事の司会業や運営補助、企画立案などによる収益にて確保している。もちろん自治体への防災業務、行政情報の発信費用も業務委託としての収益をベースとした上で。
地域のイベントに音響や照明、司会までパッケージ化している。機器類はレンタルなどで対応することで、法人で購入はほぼない。外注費を抑える工夫は、局内や法人に操作できるスキルを持つ人材が確保できている。また、「読む広報誌」では音訳団体の読み上げデータを編集し自治体ホームページ上にアップ。議会放送でも議員一般質問の音声データを編集している。これらの年契約で確実に収入確保できる案件や技術に特化した委託業務を受注している。そして大きな支出費削減として「無駄に雇用しない」ということです。
■認知度向上に関する取り組み
次は、住民への認知度向上への取り組みを行っているかどうか見ていきたいと思います。
こちらも「はい」が8割以上(83.6%)に達しました。
「はい」と答えた局のうち、認知度向上が上手くいっているかどうかについて、こちらは7割以上が「上手くいっている」「まあ上手くいっている」と回答していて、一定の成果が出ていることが読み取れます。

こちらも具体的な回答を見ていきたいと思います。
(上手くいっている)
フリーマガジンの発行。
人気番組をつくること、人気番組を起点としたデジタルマーケティング(SNSの活用)。
老若男女問わず幅広い層に地道なPRを継続していること。
(まあ上手くいっている)
自治体だけでなく商工会、観光協会、漁協、JAとも連携している。
防災に関して積極的に発信している。なるべく中継に出る。
地域のイベントでブースを出展し、ラジオの収録体験を行っている。自身が出演するので、放送も聴いてくれているように思う。
イベントなどではパーソナリティーを司会として。運営スタッフもラジオメンバー。また、宣伝物として、ウェアの着用徹底。ステッカーなどのノベルティ配布。
少しずつ県外コミュニティ放送局とのつながりを意識し放送している。
番組表の市内小中学校への全校配布。
ラジオ放送・フリーペーパー発行の両方を行い、メディアミックスで認知度向上を図る。
地ビールの開発。
■高齢化対策への取り組み
3つ目の高齢化・後継者対策への取り組みはどうかと言いますと、先の2つと違って「はい」は約3割(29.9%)にとどまりました。
「はい」と答えた局のうち、「上手くいっている」「まあ上手くいっている」は45%で、先の2つとは逆に「あまり上手くいっていない」の方がわずかに上回っています。

このため、具体的な取り組みの回答数が他の局より少ないですが、見ていきたいと思います。
(上手くいっている)
働き方の多様化を実現させ、特に学生アルバイト、若手の声優・アナウンサーなどを社員として雇用している。
(まあ上手くいっている)
年に一度スタッフを募集し、研修を行い、若い人員にラジオの意義、ポリシーを理解してもらっている。
卒業年度に当たる専門学校生のインターンシップを受け入れ、育成に取り組んでいる。
市民番組への参加や、都度ごとに雇用している。
■その他の取り組みについて
今回のアンケートでは、「その他、運営上で何か上手くいった取り組みがありましたら自由にご記入下さい」という項目を設けました。
こちらに回答があったものを、いくつかご紹介したいと思います。
イベント等も活発にしています。その他、ビーチクリーン等定期的にしています。
ラジオ媒体だけではコンテンツとして弱いので、取材先で動画も記録し独自のサイトでアップする動画サイトも併用しています。
経理業務を会計事務所にアウトソーシングすることにより、バックオフィスの高効率なシフト体制と、財務改善に向けての方策が常に検討される状態が維持されている。
高校生の番組制作、スポーツ少年団の番組制作。
司会業を始めたことで、露出が増え依頼として増加。楽曲制作することで、盛り上がり、ライブ収益、CD販売収益が上がった。
周りが局に求めてくる「こうすれば聴いてもらえる」には2割を聞き入れる。応えていたら破綻します。また「運営資金が足りない。運営大変だ」など日頃から口にしない。「まぁなんとかやれてますよ。多くを望まず、今できることをやり続けるだけ」を口癖にしています。
他局と特番連携をすることで他局のCM提供事業所と関係を築くことが出来た。
大型商業施設内に常設サテライトスタジオを設置し壁面に広告を募集し、設置費用や管理費を捻出。認知度アップにもつながります。設置費用は、補助金制度を利用するのも良いと思います。
放送機器購入のためのクラウドファンディングを実施して達成した。
■回答の公開について
今回のアンケートも、ご希望があった局の皆様に結果をお送りいたしました。
特に収益確保や認知度向上について、どの局も試行錯誤していることがよく分かりました。その中で、一定の成果を上げているところもあります。今回ご紹介した取り組みの数々が、自分の局でもできそうだなと感じたら、ぜひ取り入れていただければと思います。
コミュニティFM大分析では、引き続きいろいろなことをご紹介して、コミュニティFMの業界全体がより良い方向に進んでいけたらと考えています。
ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
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